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ドイツ演奏旅行の思い出  その3
バッハのロ短調ミサのリハーサルの初日はニコライ教会合唱団と日本から参加の合唱団"もくせい"との合同練習でした。 そしてそのリハーサルが行われた場所はというとバッハ自身もリハーサルに使用していたという部屋だったのです。 ライプツィヒにはバッハの時代の建物が多く残っていますが、バッハがリハーサルに使っていた部屋が今も残っているなんて正直驚きました。そしてその部屋でリハーサルができると聞いて、思わず子供のように喜んでしまいました。 ニコライ合唱団はそこでいつも練習しているというのです。何ともうらやましい話です。

私は早くその部屋を見たかったので早めに出かけました。部屋は合唱を練習するには充分な大きさで、なおかつ天井がとても高く、 良い響きがしそうな印象でした。そのうち前日到着したばかりの日本の合唱団やニコライ合唱団のメンバーが集まりはじめました。 まずニコライ合唱団の指揮者でニコライ教会オルガニストでもあるヴォルフ氏の歓迎の挨拶の後、 いよいよ音だしです。期待と不安の混ざったような雰囲気が感じられました。 練習中は不思議な気持ちでした。演奏会のための大切なリハーサルなのですが、 そんなことに関係なくこの街でバッハをしかも歴史的な部屋で演奏している、という充実感がそこにはありました。 約2時間のリハーサルでしたが、とても幸せな時間でした。

次の日の午後にニコライ教会でソリスト&オーケストラのリハ−サルが行われました。 ようやく憧れの教会でバッハを奏でることが出来る、そんな思いでした。 共演してくださったオーケストラは、カペレニコライ。 極端に言うと指揮を振るたびに感動が私の体の中を走りました。 あんなバッハを聞いたことは今までにありませんでした。 実に楽しそうに聞こえ、それでいてエネルギーにあふれ、軽やかなのです。 こんなオーケストラを身近に聞くことができる街ライプツィヒ。やはりすごい街だと改めて思いました。

ロ短調の本番は私が思い描いていたよりもよい状態で迎えることが出来ました。 演奏中も教会一杯に響いている音を聴きながら、250年前にもきっとバッハはこの同じような響きを 聞いていたんだろうと思い、タクトを振りました。 素晴らしい時間と空間、バッハがとても身近に感じられた演奏会でした。

                       次回はドイツでのお話の最終回、
                       どうぞお楽しみに。

【2005年9月29日】


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