横島勝人近影
Graffiti
www.katsutoy.com

落書き帳
メニュー落書き帳投書箱横島勝人の演奏会スケジュール横島勝人のプロフィールトップページへ戻る
メニューの説明

ルツェルン音楽祭のアバド
5月半ばの日曜日の夜帰宅してテレビを見ていると、NHKの芸術劇場で昨年のスイスのルツェルン音楽祭の模様が放送されていました。 指揮者はクラウディオ・アバドで曲目はブルックナーの交響曲7番、すでに3楽章の途中になっていて 久しぶりのアバドの姿に心が熱くなりました。 実はアバドは随分前に病気で第一線からしりぞきもう舞台には戻ってこないと誰しも思ってたところ、 数年前に見事復帰を果たし音楽界を驚かせたのでした。最近私は色々な雑誌で彼の活躍を 読んでいたので、今回彼の姿をテレビを通してでしたが見ることができて、本当に嬉しかったのです。

私が初めてアバドの指揮姿を見たのはウィーンで勉強し始めた頃、楽友協会ホールでの ウィーンフィルのリハーサルの時でした。今はどう分かりませんが当時のウィーンフィルのリハーサルは一般の人も見学できて、 よくご老人がぽつんと1人で座って聴いているのを見かけたものです。 その様子を見てウィーンフィルも特別なものではなく、ウィーン市民の生活の一部になっているのだと感心させられました。 その時に演奏されていたのも今回と同じブルックナーで忘れもしません4番「ロマンチック」でしたが、 演奏が始まった瞬間今まで私が抱いていたブルックナーの音のイメージが一変してしまったのです。 日本にいた時はもっとゴツゴツとしたイメージとはまったく違っていました。 曲がまるでこのホールとこのオーケストラのためにわざわざ作曲されたように響いていて、 明るく広がりがあるアバドとウィーンフィルのブルックナーに酔いしれたことを思い出します。 それから何度もアバドはウィーンフィルを振りに来て、その度にリハーサルやコンサートに通いました。

そんな彼がベルリンフィルの音楽監督に就任して初めて 同オーケストラとウィーンにブラームスチクルスを行なうためにやって来たのです。 日程は5日間ありブラームスの交響曲4曲と協奏曲4曲、そしてドイツレクイエムという贅沢なものでした。 私はアバドをウィーンフィルとしか聞いたことがなかったので、 チケットは即完売でしたが何とか手に入れて彼がベルリンフィルからどんな音を引き出してくれるのか 非常にわくわくした気持で楽友協会ホールに向かったのです。 演奏は期待以上で、楽友協会に満たされたベルリンフィルの音は何とも洗練された強さとやわらかさがあり、 昔日本でベルリンフィルとカラヤンを聴きに行った時の印象と、 あまりの違いに思わずこれベルリンフィル?って耳を疑ってしまうほどでした。 カラヤンから音楽監督を引き継いで間もないのにすでにアバド・オーケストラになっている事には驚きで、 彼がベルリンフィルと奏でるブラームスには言葉にできないほど感銘を受けた演奏ばかり、その中でもドイツレクイエムはいつまでも 忘れる事ができません。その演奏中にブラームスがあの楽友協会ホールのどこかにいるのではないかと思ったほどです。 アバドはいつも素晴らしいと思っていましたが、改めて彼の凄さを再確認させられたのでした。

今回テレビでブルックナーの演奏が終わった後、会場からそしてオーケストラからもアバドへ大きな温かい拍手が送られていました。 拍手を受けている時のアバド笑顔と満足げな表情が何とも印象的で、 同じ指揮者としてこれからも永く素晴らしい音楽活動してくれる事を願わずにはいられません。

【2006年5月26日】


Copyright (C) 2004 Katsuto Yokoshima. All rights reserved.
$ id: graffiti.html,v1.0 2004/06/16 10:26:00 h_maro Exp $