横島勝人近影
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10月3日の日記
今プラハからウィーンに向かう飛行機の中で離陸を待っているところです。 エステート劇場でのコンサートが終わって丸1日が過ぎました。 夢のような舞台に私も心から公演に関わった多くの人びとにそしてモーツァルトに 感謝したプラハ公演でした。

公演前日はプラハのプロ合唱団、VOXプラガーと MFC東京、合同リハーサルでした。VOXプラガーの響の美しさにいかにMFC東京が溶け込むかが 今回の公演の重要なポイント。初めは当然馴染んでいなかった声もリハーサル後半では うまく混じり合ってやわらかい響になってきました。そしていよいよプラハ国立歌劇場管弦楽団との リハーサル。オーケストラの団員さんはみんなニコニコしていて、とっても良い雰囲気です。 今回序曲は「魔笛」を選びました。このオーケストラは毎日歌劇場でオペラを演奏しているだけあって 予想はしていましたがやっぱり素晴らしかった。生き生きとしたテンポにフレーズ感も良く,振っている私も 思わずうれしくなってしまいました。 何かオーケストラが喜んでいる様な感じで、序曲の演奏が終わるやいなや団員さん達から「ブラボー」が出てその場を盛り上げてくれました。 その後すぐレクイエムの合唱合わせ、残りの時間でアリアを合わせるハードなスケジュールです。でも合唱もオケもリハーサルを 良い雰囲気で終える事ができ、翌日の本番が本当に楽しみになる素敵なリハ−サルでした。 プラハ国立歌劇場は日本にもよく来日していて、オケのメンバーの方から「コンニチハ」と挨拶してくれたり、話しかけてくれたりと 本当に気持ちを和ませてくれました。

いよいよ本番の日を迎えました。コンサート会場であるエステート劇場はプラハの旧市街地の中心にあり、ゆっくり街の様子を見ながら歩いて向かいます。 そして劇場に着き早速舞台へ。そこには感動が待っていました。モーツァルトの時代にタイムスリップした様な錯覚に陥ってしまうほどの 美しくきらびやかな装飾で、照明の灯りがホール全体を包み込んでいて、思わずその場に立ちつくしてしましました。 そして緊張していた気持ちもこんな所で演奏できる喜びに次第に変っていくのでした。 そんな中オーケストラの団員さんや合唱団が集まり最後のリハーサルが始まりました。約2時間でしたが、 もう「心配はないよ」とモーツァルトが言ってくれているようで、力を抜いて指揮を振っていました。 リハーサルの終わりにチェコ人のテノールのドレジャルさんがある場所を指して「あのプレートの上でモーツァルトは指揮とチェンバロを弾いたんだよ」と 教えてくれたのです。ちょうど指揮台の下のあたりに小さな金色のプレートがあって何やらチェコ語で書かれています。そのプレートの触れたり上に立ったり、 感動や感激を通り越して、モーツァルトがここで指揮をしていた姿を想像するだけで言葉が出ませんでした。 「歴史ってすごい」その一言でした。コンサートですか?勿論モーツァルトに見守られていた様な気がします。 夢のような時間を私も含め舞台に皆さんは何か感じていたのではないでしょうか。

次の日は二つの演奏会を思い起こし少しボーっと考え事をしていました。まだまだやる事はあるのですが、こんなに満足した気持ちになった事もそうありません。 今まで音楽をやってきて本当に良かったと思える瞬間でした。今ようやく飛行機がウィーンに向かって動き始めました。 さよならプラハ、ザルツブルグ、そしてありがとうモーツァルト!!

【2006年10月3日】


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