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宮崎駿さんと名作
もう8月も終わりだ。マウントあさま室内合奏団のウィーンツアーが4月だったからあれからすでに4ヶ月が経った。早いものです。 さて先日宮崎駿さんの特集をテレビで見た。宮崎さんの大切にしている事や、新作を生み出すまでの苦労や苦難がドキュメントとして放送されていた。 私もこうしてエッセイを書いていはいるが、何を書こうか書き出しにとても困る。もちろんこれを書こうとか 話題がすぐ見つかればあまり苦労はないのだが、大半はずっと何を書こうか悩んで過ごしている。 しかしこれが仕事ではないからはっきり言って気楽なもので、考えが浮かばない時はまた明日考えようとあきらめる事ができる。 でももしこれが仕事や締め切りがあったり、まして評判や売れゆきなどを考えるとなると、ぞっとしてしまう。 ただこのエッセイを書くようになってからは作家や画家、そしてテレビドラマやゲームなど創作する仕事を違う目で見れるようになったのも確かだ。

音楽の世界で創作といえば作曲であろう。何がきっかけで作品を生み出されるのかは作曲家それぞれ違うはずだ。 今年からモーツァルトの交響曲全曲演奏会を松本でスタートさせた。初期の作品を演奏すればするほど驚きと衝撃が走る。 8歳で書いたとされる最初の交響曲変ホ長調K16。一楽章を当時の習慣で普通ならアレグロ(Allegro)で書く。 ところが少年モーツァルトはモルト アレグロ (Molto allegro)で彼の交響曲人生をスタートさせている。 このモルトアレグロはあの有名な最後の交響曲ハ長調「ジュピター」の終楽章と同じ設定である。 初期の交響曲とはいえハーモニーをとってもリズムにおいても8歳、9歳とは考えにくい。 当時の学者もわざわざ少年モーツァルトに会い、様々なテストを行なっているほどである。 そしてモーツァルトの作品は250年経った今も人びとの心を癒し、その後の作曲家にも大きな影響を与え続けている。 数百年ものあいだ、人びとに愛され続けているものがどれだけ存在しているかというとかなり少ないと思う。 こうして考えると創作したものが無くならずに残っていく事は軌跡にちかいのではないだろうか。 宮崎駿さんの作品で初期があの「アルプスの少女ハイジ」と考えるとやはりすごい人なのだと思うし、 すでに「ハイジ」という作品は宮崎駿さんから独り立ちしている。 アニメでも音楽でも作品が独り歩きして生き続けていることが名作だと思う。 宮崎さんは作品に対してこう言っていた。「命が生まれる」

世の中には名作がいくつかある。ビートルズの「イエスタデイ」、ベートーヴェンの「運命」、ダヴィンチの「モナ・リザ」等、 これらはきっと「永遠」という命が吹き込まれていて、これからも輝き続けるのだろう。 そして我々はその作品に触れることによって作品から力をもらっている。 私はいつも作品の素晴らしさの本質を探す事でもっと感銘を受けるはずだと思っている。 たとえば素晴らしい文学も読み方によっては駄作になってしまう恐れがある。

今私が演奏している作品は名作・名曲とされているものがほとんどである。なぜ名作・名曲なのか? どうすれば素晴らしい作品になるのだろうか?なぜ現在まで奏で続けられてきたのかをよく考えなくてはいけないと思う。 そして作品にはメッセージがあり、それを楽譜から受け取らなくてはいけない。この夏、そんなことを宮崎さんの番組は考えさせてくれた。

【2008年8月26日】


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